スノーピーク代表取締役会長
山井 太 氏
1959年、新潟県三条市生まれ。明治大学を卒業後、外資系商社勤務を経て86年、父が創業したヤマコウ(現スノーピーク)に入社。アウトドア用品の開発に着手し、オートキャンプのブランドを築く。96年に代表取締役社長就任。2020年3月から現職。
コロナ禍で、密閉や密集を避けられるレジャーとして、キャンプの人気が高まっています。大空の下でのびのび過ごすと、不安やストレスが和らいだり、元気が湧いてきたりすることも。アウトドアメーカー「スノーピーク」(本社:新潟県三条市)の山井太会長に、自然の中で心身を癒やし、人間らしさを取り戻す“野遊び”の魅力を聞きました。
野山を駆け巡って土や植物の匂いを感じる、木登りをして風の動きに触れる。木の実や落ち葉を使って思い思いに何かを作り出す。野遊びは、自然の中で想像力を駆使し、創意工夫を凝らします。気候に左右され、困難を乗り越える力が付きますし、人と人がつながり、年齢を超えたコミュニケーションも生まれやすいです。
豊かな自然の中で存分に遊ぶことで、心は健やかになり、クリエーティブな発想や明日への希望が湧いてきます。とりわけ都市で生活する人にとって最適の癒やしになると思います。
スノーピークの会員数も増え続け、ブームを実感しています。コロナ禍の前から、世界のほとんどの都市は過密が進み、野遊びへの欲求が地球規模で高まっていました。日本のキャンプ人口は約860万人、人口比で7%程度です。米国は人口比50%にも上ります。米国人は野遊びの習慣があるせいか、産業に活力が感じられます。キャンプに親しむ九州の人が増えれば、地域はより元気になっていくはずです。
私たちはアウトドアの知見を生かし、日本のさまざまな土地の新たな価値を創出する事業にも力を入れています。今回の協定は、「観光」「食事」「子育て」「仕事」など、暮らしの中にアウトドアの要素を取り入れたライフスタイル「OPENーAIR佐賀」を推し進め、地域の再活性や魅力向上を目指します。
佐賀県は豊かな自然と壮大な歴史を誇ります。中でも吉野ヶ里歴史公園は、キャンプを年間30~60泊している私から見ても魅力的。歴史ロマンあふれる広大な景色の中でキャンプをしたら、さぞかしすてきでしょう。福岡、熊本といった主要都市に近いロケーションも強みです。日本で一番いい野遊びの拠点ができるのではと見込んでいます。
人間の心と体はこれからますます自然とのつながりを求めるでしょう。キャンプは家族や友人、仕事仲間との絆を強めます。
手軽なデイキャンプもいいし、優雅で快適な宿泊体験ができるグランピングもいい。仕事と休暇を兼ねたワーケーションもあります。スノーピークはアウトドア空間を使って仕事をするキャンピングオフィスを提案しています。いつもの仕事が新鮮に感じられ、視点や発想が変わると好評です。
1959年、新潟県三条市生まれ。明治大学を卒業後、外資系商社勤務を経て86年、父が創業したヤマコウ(現スノーピーク)に入社。アウトドア用品の開発に着手し、オートキャンプのブランドを築く。96年に代表取締役社長就任。2020年3月から現職。